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病院で行われる起立性調節障害の治療方法

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病院での起立性調節障害診断によって起立性調節障害であると診断されたら、実際にどのような治療が病院で行われるのでしょうか?

以下で、病院での治療方法をご紹介します。

起立性調節障害治療の基本は非薬物治療

病院で治療を受けるとなると、薬の投与による治療が行われるイメージが強いかと思います。

しかし、薬による治療がいきなり始まるわけではありません。

確かに薬も利用されるのですが、その前に非薬物治療が行われます。

非薬物治療とは、薬を利用しない治療方法です。具体的には、説明・説得療法と生活指導療法があります。

 

 

説明・説得療法とは

病院で治療を開始する際、医師から保護者と子どもに対し、対処方法についての説明が行われます。このことを、説明・説得療法と言います。

本人や保護者が正しく起立性調節障害について理解をして、それに対処する知識と能力を身に付けることを目的にしています。

具体的には、医師は、本人と保護者に対し、身体疾患であることと、症状やメカニズムについての説明をしてくれます。

そして、午前中に症状が強くなることや季節変化があること(春から夏に悪化することが多い)ことなど、病気の内容についての説明もします。

子どもが怠け者だと思われることもありますが、実際にはそのような気持ちの持ち方の問題ではなく、精神論では治らないことも強調します。

また、朝寝坊や夜更かしを責められる子どもも多いですが、それらをやめるだけでは起立性調節障害が治らないことも指摘します。

このように、本人や保護者が正しい知識を身に付けることによって、はじめて医師との二人三脚で治療していくことができます。

 

 

生活指導

その上で、医師からも生活指導を受けます。指導内容は、規則正しい生活をすることや食事内容に気をつけること、立ち上がるときに急に姿勢を変化させないことなどです。

これらは、先にご紹介した自宅でできる治療方法とほとんど同様の内容となっています。

 

 

起立性調節障害治療と薬物治療

薬物治療ではなかなか効果が上がらない場合や、症状が急激で即対処の必要があるケースなどでは、薬の投与による治療が行われることがあります。

起立性調節障害になると、自律神経が乱れてしまうので、血圧が下がって体調が悪化しています。脳に運ばれるはずの必要な血液が足りなくなって、めまいや脳貧血が起こったり、起きにくくなったりするのです。

そこで、薬を使うことによって下がってしまった血圧を上げて、症状を緩和しようという方法です。

ただ、薬物治療を過信しすぎるのは危険です。

起立性調節障害の原因は、思春期の成長によるものであったり体質的なものであったり性格的なものであったり、さまざまです。薬物治療は、その根本原因を直すのではなく下がった血圧を上げるだけなので、対処療法にしかなっていないとも言えます。また、薬物治療をしても効果が出ない人もいます。

そこで、薬物治療は、あくまで補完的なものととらえるべきです。薬物治療で症状を抑えながら上手に克服することを目的にしましょう。

薬物治療を利用するときには、それが万能ではないことと、対処療法にしかならないという限界について、きちんと理解しておくことが必要です。

また、病院でも、何の説明もなくいきなり薬物治療を始めることはありません。まずは非薬物治療を行った上で、保護者と子どもに納得してもらった上で、薬物治療を開始します。

何の説明もなく、いきなり薬を投与されることはないので、構える必要はありません。

 

 

薬物治療の具体的な内容

薬物治療では、いくつかの種類の薬が使われます。

よく使われるのはミトドリンやアメジニウム、プロプラノロールなどです。

これらの起立性調節障害の治療薬は、たいてい血圧を上げるための昇圧剤と呼ばれる薬です。

 

 

ミドトリン塩酸塩

起立性調節障害の治療の際、必ずと言って良いほど頻繁に使われるのがミドドリン塩酸塩です。

これは、交感神経α受容体を刺激する薬で、血管を収縮させることによって血圧を上げる効果があります。

服用量は、子どもの年齢や体重によります。小学校高学年の場合、20mgの錠剤を、朝晩1錠ずつ服用します。

中学生の場合には1日3錠となり、大人の場合には1日4錠まで服用出来ます。

服用する量は体重にもよりますが、小学生高学年では朝夕1錠(1錠2mgとして)ずつ服用します。

ミドトリン塩酸塩を服用すると、1時間ほど経ったら徐々に血圧が上がってきます。効き目は緩やかなので、飲み始めてから実際に効果を実感するまでは1~2週間くらいかかります。特に子どもの場合、すぐに効果が出ないと薬を2~3日でやめてしまうこともありますが、ミドトリンの場合にはしばらく継続しないと効果が出にくいので、ある程度継続して飲み続けることが必要です。

ただ、反対に、あまり薬を長期間飲み続けると、身体に体制ができてしまうおそれがあります。そこで、2ヶ月以上の長期にわたってミドトリンを飲み続ける場合には、学校が休みの日は薬を休む、などの工夫をしましょう。医師と相談しながら上手に薬とつきあうことが重要です。

なお、ミドトリン塩酸塩の商品名は、メトリジンDなどが代表的です。これは、口の中に入ると自然に溶けるので、飲みやすいです。起立性調節障害で朝起きられない子どもでも、横になったまま服用することができます。

ミドトリン塩酸塩には副作用はほとんどありません。ただし、1%未満の確率で、悪心や腹痛、頭痛などが起こる可能性があります。

 

 

メチル硫酸アメニジウム

メチル硫酸アメジニウムも、血圧を上げる作用がある昇圧剤の1種です。

商品名はリズミックとなっているので、病院で処方されたり薬局で購入したりする際には、その名前になります。

メチル硫酸アメニジウムを服用すると、ノルアドレナリンが不活性化することを防止して、交感神経を活発化させてくれて、血圧が上昇します。

リズミックは1錠10mgですが、服用量は小学校高学年以上の場合に1日2回、半錠ずつ(1日1錠)、中学生の場合には1日2錠までとなります。

甲状腺機能亢進症の場合や狭隅角緑内障、前立腺肥大がある人は、その症状を悪化させるおそれがあるので服用出来ません。

また、ドロキシドパ(ドプス)は、アメニジウムと同じ効果があるので、一緒に飲むと血圧が異常に上がってしまうおそれがあります。

さらに、副作用もあります。

立ち上がるときに頻脈になってしまうことがありますし、動悸や血圧変動、心房細動(不整脈)、ほてりやのぼせ、頭痛、頭重感、吐き気、めまいや立ちくらみ、腹痛、排尿障害などがあります。発生する確率は0.1~5%未満です。

 

 

ジヒデルエルゴタミン

ジヒドロエルゴタミンという薬も、よく起立性調節障害の治療に使われます。

商品名はジヒデルゴットなどです。

この薬には、静脈の血管を収縮させることにより、立ち上がったときの下半身への血液の滞留を防止する働きがあります。

ミドドリン塩酸塩が効かない人の場合に使われることが多く、血管性の偏頭痛にもよく効きます。

ジヒデルゴットは1錠1mgですが、小学校高学年以上の場合に1日2回、1錠ずつ飲みます。中学校以上の場合には、1日3錠まで服用可能で、効き方は穏やかです。

副作用は少ない方だと言われていますが、およそ1~5%の患者において、発疹やかゆみ、食欲不振や吐き気、腹痛、口の渇き、上腹部の不快感、動悸や眠気、手足の冷感などの副作用があると報告されています。

ジヒデルエルゴタミンは、次にご紹介するプロプラノロールと併用すると、末梢血管が強く収縮しすぎてしまう可能性があるので、一緒に飲まないように注意すべきです。

 

 

プロプラノロール

起立性調節障害の治療には、プロプラノロールも使われます。商品名はインデラルなどです。

この薬は、交感神経β受容体阻害薬で、1960年代に開発されたもので、使用実績は豊富です。

アドレナリンの作用を弱めて心拍数を低下させて心臓を休め、血管を収縮させる効果があります。

高血圧や不整脈を治療する際に良く用いられるもので、偏頭痛の改善効果もあります。

1錠は10mgか20mgとなっていて、小学校の高学年以上の場合、朝食前に1錠飲みます。

商品名としてはインデラルというものがあり、1錠あたり10mg/20mgとなります。

小児は服用しないのですが、小学生高学年以上では、朝食前に1錠服用します。

飲み始めるとき、めまいや体のだるさを感じるケースがあります。

また、気管支喘息がある子供は服用が禁止されています。

副作用としては、鬱血性の心不全や徐脈、末梢性虚血、房室ブロックなどが5%未満で起こると言われています。

 

 

薬を飲み続ける工夫

病院で薬を処方してもらって毎日飲む場合、途中で辞めてしまわないために工夫する必要があります。

まず、薬はすぐに効かなくても、しばらく飲み続ける必要があることを理解すべきです。

起立性調節障害の治療によく使われるミドトリンでも、2ヶ月経ってからもっとも効果が顕れると言う人もいます。

また、薬の管理は、保護者ではなく子ども自身にさせるのがおすすめです。

その方が、子どもが自覚をもって、積極的に病気を治そうという気持ちになりやすいですし、自律性も養われるからです。

子どもが飲み忘れているときにだけ、保護者が声をかけてあげるような態度が、長い目で見ると効果的です。

 

 

以上のように、起立性調節障害は、周囲に理解されにくい難しい病気ですが、基本的には日常生活内において、治療することができます。ただ、症状がきつすぎる場合や、どうしても改善しない場合には、医療機関を受診する必要があります。

病院に行っても、すぐに薬が処方されるわけではなく、まずは説明・説得療法や生活習慣改善療法などの非薬物治療が行われます。それでも対処できないケースでのみ、薬物治療が実施されます。

今、起立性調節障害にかかって悩んでいる保護者の方やお子様は、今回の記事を参考にして、一度自分達で治療を試してみると良いです。どうしてよいかわからない場合やどうしても治らない場合には、小児科医の診察を受けると良いでしょう。

 

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