薬物治療では、いくつかの種類の薬が使われます。

よく使われるのはミトドリンやアメジニウム、プロプラノロールなどです。

これらの起立性調節障害の治療薬は、たいてい血圧を上げるための昇圧剤と呼ばれる薬です。

 

ミドトリン塩酸塩

起立性調節障害の薬物治療では最もスタンダードな薬で、商品は「メトリジン・ナチルジン・アバルナート」などがあります。

サブタイプでは起立直後性低血圧と体位性頻脈症候群に使用されます。

起立性調節障害のサブタイプとは?

 

メトリジンの特徴

メトリジン(ミドトリン塩酸塩)は、交感神経α受容体を刺激する薬で、血管を収縮させることによって血圧を上げる効果があります。

服用量は、子どもの年齢や体重によります。小学校高学年の場合、2mgの錠剤を、朝晩1錠ずつ服用します。

中学生の場合には1日3錠となり、大人の場合には1日4錠まで服用出来ます。

服用する量は体重にもよりますが、小学生高学年では朝夕1錠(1錠2mgとして)ずつ服用します。

メトリジン(ミドトリン塩酸塩)を服用し、1時間ほど経つと徐々に血圧が上がってきます。

メトリジンの効き目は緩やかなので、飲み始めてから実際に効果を実感するまでは1~2週間くらいかかります。

特に子どもの場合、すぐに効果が出ないと薬を2~3日でやめてしまうこともありますが、ミドトリンの場合にはしばらく(二か月程度)継続しないと効果が出にくいので、ある程度継続して飲み続けることが必要です。

ただ、反対に、あまり薬を長期間飲み続けると、身体に耐性ができてしまうおそれがあります。

そこで、2ヶ月以上の長期にわたってミドトリンを飲み続ける場合には、学校が休みの日は薬を休む、などの工夫をしましょう。医師と相談しながら上手に薬とつきあうことが重要です。

最近では、口の中に入ると自然に溶けるメトリジンD錠口腔内崩壊錠というものもあり、起立性調節障害で朝起きられない子どもでも横になったまま服用することができるような薬もあります。

メトリジンを飲んでも起立性調節障害の症状が改善されなかった時には、リズミック(※後述)が処方されるケースが多いです。

 

メトリジンの副作用

メトリジンの副作用は、薬を服用すると発疹などのアレルギー症状が出る場合があります。

アレルギー症状が出た場合は、薬が体質に合っていないことが考えられます。

薬を飲んで皮膚に発疹ができたり蕁麻疹が出た時には薬の服用を中止して、医師に相談することが必要です。
その他の副作用として、吐き気や腹痛、食欲不振などの胃腸障害や肝障害、頭痛や眠気などの症状が稀に出る場合があります。

これらの副作用はあまり出ることはありませんが、薬を飲んでこれらの症状が出た時には、医師の診察を受けることが必要です。

 

 

メトリジンを服用する際の注意点

メトリジンを服用する際の注意点として、必ず食後に服用することが必要ですので、食前や食間に服用しないように注意します。

1日当たりの服用量は症状によって違いがありますので、必ず医師が指定した量を守ることが必要です。

自分の判断で増量したり減量することは厳禁です。
アレルギー体質の方は薬を服用するとアレルギー症状の副作用が出ることがありますので、問診の際にはアレルギー体質であることを伝えておくことが必要です。

病気の治療のために他の薬を服用している場合は、現在飲んでいる薬の名前を伝えるようにします。

メドリジンD錠 2mgの添付文書

 

メチル硫酸アメニジウム

メチル硫酸アメジニウムも、血圧を上げる作用がある昇圧剤の1種です。

メチル硫酸アメジニウムを含む製品は「リズミック・イピノテック・メトロック」などがあります。

メチル硫酸アメニジウムを服用すると、ノルアドレナリンが不活性化することを防止して、交感神経を活発化させてくれて、血圧が上昇します。

リズミックは1錠10mgですが、服用量は小学校高学年以上の場合に1日2回、半錠ずつ(1日1錠)、中学生の場合には1日2錠までとなります。

甲状腺機能亢進症の場合や狭隅角緑内障、前立腺肥大がある人は、その症状を悪化させるおそれがあるので服用出来ません。

また、ドロキシドパ(ドプス)は、アメニジウムと同じ効果があるので、一緒に飲むと血圧が異常に上がってしまうおそれがあります。

さらに、副作用もあります。

立ち上がるときに頻脈になってしまうことがありますし、動悸や血圧変動、心房細動(不整脈)、ほてりやのぼせ、頭痛、頭重感、吐き気、めまいや立ちくらみ、腹痛、排尿障害などがあります。発生する確率は0.1~5%未満です。

 

プロプラノロール

起立性調節障害の治療には、プロプラノロールも使われます。商品名は「インデラル・ソラシロール」などです。

この薬は、交感神経β受容体阻害薬で、1960年代に開発されたもので、使用実績は豊富です。

アドレナリンの作用を弱めて心拍数を低下させて心臓を休め、血管を収縮させる効果があります。

高血圧や不整脈を治療する際に良く用いられるもので、偏頭痛の改善効果もあります。

1錠は10mgか20mgとなっていて、小学校の高学年以上の場合、朝食前に1錠飲みます。

商品名としてはインデラルというものがあり、1錠あたり10mg/20mgとなります。

小児は服用しないのですが、小学生高学年以上では、朝食前に1錠服用します。

飲み始めるとき、めまいや体のだるさを感じるケースがあります。

また、気管支喘息がある子供は服用が禁止されています。

副作用としては、鬱血性の心不全や徐脈、末梢性虚血、房室ブロックなどが5%未満で起こると言われています。

 

メシル酸ジヒドロエルゴタミン

※メシル酸ジヒドロエルゴタミンは製造中止になりました。

ジヒドロエルゴタミンという薬も、よく起立性調節障害の治療に使われます。

商品名はジヒデルゴットなどです。

この薬には、静脈の血管を収縮させることにより、立ち上がったときの下半身への血液の滞留を防止する働きがあります。

ミドドリン塩酸塩が効かない人の場合に使われることが多く、血管性の偏頭痛にもよく効きます。

ジヒデルゴットは1錠1mgですが、小学校高学年以上の場合に1日2回、1錠ずつ飲みます。中学校以上の場合には、1日3錠まで服用可能で、効き方は穏やかです。

副作用は少ない方だと言われていますが、およそ1~5%の患者において、発疹やかゆみ、食欲不振や吐き気、腹痛、口の渇き、上腹部の不快感、動悸や眠気、手足の冷感などの副作用があると報告されています。

ジヒデルエルゴタミンは、次にご紹介するプロプラノロールと併用すると、末梢血管が強く収縮しすぎてしまう可能性があるので、一緒に飲まないように注意すべきです。

 

 

薬を飲み続ける工夫

病院で薬を処方してもらって毎日飲む場合、途中で辞めてしまわないために工夫する必要があります。

まず、薬はすぐに効かなくても、しばらく飲み続ける必要があることを理解すべきです。

起立性調節障害の治療によく使われるミドトリンでも、2ヶ月経ってからもっとも効果が顕れると言う人もいます。

また、薬の管理は、保護者ではなく子ども自身にさせるのがおすすめです。

その方が、子どもが自覚をもって、積極的に病気を治そうという気持ちになりやすいですし、自律性も養われるからです。

子どもが飲み忘れているときにだけ、保護者が声をかけてあげるような態度が、長い目で見ると効果的です。